英国のDovetailedという会社が開発した3Dプリンタでフルーツを作ったという記事が、昨日、今日と、SNSでもずいぶん話題になっています。

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(☝︎オリジナルの記事に飛べます)

3Dプリンタで食品を作るというアイデアは実は数年前からあって、ネットで探した限りでは、2011年にすでに、食材のペーストを成形するアイデアが紹介されています。

未来の台所;3Dプリンタで食べ物も瞬時に出力できる?(2011.3記事)
「実際できるものはというと、チョコレートシロップ、クッキー生地、トマトペーストなどの均質化された半液状の原料から作りだせるもののみとなる。」


上の記事にある限界は、3年後の今も変わらないように見えます。

ところで、今回のDovetailedの記事にある「アルギン酸ナトリウムで球状化して…」のあたりが、どうなるとフルーツを作ることに結びつくのか、サイトでは解説されておらず、これを引用した記事を読んでも、それがわかる解説はなかなか見つかりませんでした。

ご存知の通り、アルギン酸ナトリウムで食材をコーティングする技術は、3Dプリンタなどよりずっと前、分子料理華やかな2000年代からレストランですでに使われている技術です。人造イクラに至ってはそれよりずっと前のはず。今になってなぜ、アルギン酸と3Dプリンタで果物が作れるという記事になっているのか、どのへんがその時代より進化しているのかが疑問でしたが、サイトにある動画を見て氷解。



まずはアルギン酸で固めた食材の粒(この場合はストロベリー味のピューレ)を、正確にシャーレに落とします。
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次に、それを立体的なラズベリーの形になるように落とし続けます。
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粒が集まってラズベリーの形にまとまったら出来上がり。
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なーんだ。

つまりは、フルーツが出来る、というよりは、ラズベリーが出来る、という表現が正しいようです。
今のところ。

というわけで、ラズベリーは作れるものの、りんごとか、バナナとか、スイカとかはまあ、遠いわけです(^^;;

遠いといえども、今後、この技術がどのように進化するかは誰にもわからないところです。

2011年の記事にあるように、ペースト状の食材をある3Dの形に射出成形することだけしか出来ない今は、そのへんが「3Dプリンタで食べ物」の限界といえそうですが、Twitterでそのへんをつぶやいたところ、蕎麦打ちの本職の方から、「機械が適切な捏造と圧延の技を得たとき、手打をする意味が見いだせるのかどうか」わからないというリプライを頂きました。

麺類に応用可能となれば、かなり、いろいろな新しいものが生まれるのかもしれません。

☟このような本が6月に出るそうです。「分子調理の世界的な広がりの様子を眺め、料理と科学の幸運な出会いの場面を描く」本になるとのこと。