先日都内で行われた、イタリア・モデナのミシュラン3つ星「Osteria Francescana」でスーシェフをつとめた徳吉洋二さんの料理フェア。(記事は→こちら
そのとき使用された器は、このフェアのために作成された有田焼だった。
8皿のコース料理に、有田焼の窯元5軒(徳幸窯、福珠窯、福泉窯、やま平窯元、李荘窯業所)がそれぞれ器をデザインした。そのうちの2軒である、徳幸窯と李荘窯業所に、今回、実際にお邪魔する機会を得た。
ご案内くださった徳幸窯の徳永弘幸さん、李荘窯業所の寺内信二さん、ありがとうございました。

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徳幸窯さん。
創業慶応元年。当時から、料亭や旅館向けに器を作成することが多かったという。
言われれば当たり前のことなのだけれど、窯は一軒ごとに得意分野があり、徳幸窯さんのご近所は、料亭向けの器が得意な窯が多いそうだ。

今回、8種類の器を5軒の窯元で作成するにあたり、それぞれの成型方法やデザインの特徴から、各窯元が得意分野を考慮して担当の器を割り振ったのだという。器のデザイン開始から納品まで2ヶ月。イタリア在住の洋二さんとは、SNSで写真やイメージスケッチなどを送り合う形で作成していったのだそうだ。

徳幸窯・徳永さんの担当は「ジャガイモのパスタ」のための、ジャガイモをかたどった器。
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徳永さんは最初、ジャガイモを横に切った形の皿をイメージしていたそうだ。しかし洋二さんの希望が「ジャガイモは縦に切った形、入れるパスタは70g」というもので、そこから器のデザインやサイズが決まっていった。
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この器は、石膏型に素材を流し込んで成形された。
型になるジャガイモのモデルは、当初、実際のジャガイモの予定だったそうだが、希望の大きさのジャガイモがなく、一から作ることになったそうだ。
石膏型はたいてい同一のデザインで複数個作る。その個数は、製品の総作製個数に応じて、或いは製品の完成個数の歩留まりや納期の長短に応じて決まるという。
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横から見ると、器がジャガイモを斜めに切った形になっている。このデザインについて伺うと、やはり器を斜めにカットするのは(可能だが)難しいのだそうだ。今回は、初めから傾いた形で石膏型を作り、それを水平に切って結果的に斜めにカットした形にする手法をとったという。
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器を斜めに切るデザインのために傾いた型を作っている。
そして、上が少しすぼまった形をしていることで、白トリュフの香りがより濃厚に楽しめる効果も生んでいる。
何気ないデザインにも、一見しただけではちょっと想像のつかない工夫や手順が隠されているのだ。

ところで、10/19発売「専門料理」11月号の特集「デザインと表現」で、料理人に、器をどうやって調達しているか、どのような器を選ぶかを問うたアンケートが出ている。

それを見ると、料理人が器に求める要素は「シンプルなもの」、「器が料理より印象に残らないもの」という趣旨の回答が多い。確かに、料理より器の美しさや奇抜さが受け取る側の印象に残るのでは本末転倒だろう。

しかし今回のように、料理と器が強く共鳴する場合には、器と料理の印象が、1+1=2ではなく、5にも10にもなる場合だってあるのではないか?
もしそうなのであれば、もちろんコストの問題はあるにしても、器に、シンプルさや料理を引き立てる黒子であることだけを求めるのは、少しもったいない、ような気もする。
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徳幸窯
佐賀県西松浦郡有田町応法丙3841-1
TEL:0955-42-2888


②李荘窯業所へ続く。)