前回の訪問記は→こちら
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Fäviken Magasinet、2度目の訪問。
前回(2年前)から、料理がずいぶん変わっていた。

日本人である私たちは、この緯度の高い北欧の地の食生活を知らない。
私たちから見たら新鮮に思えるものも、現地の食習慣から来ているものもあるはずで、それらを理解するためのカベは越えることが出来ない。

変わっている…のは感じ取れるが、「ではどこが?」と言われるとうまく説明できない。
ただ、今回のFävikenでの料理について、前回と比較することで、理解の補助線を引くことはできるはずだ。

料理の方向性がずいぶん変わったような気がするが、ミニマリズムをベースに緊張感のある料理はそのままだ。
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違いの一つは、塩分の濃さ。
最初のアミューズで出る豚ホホのハムや帆立のスープなど、驚くほど塩分の濃い料理がいくつかあった。これは前回と大きな違いだ。
火入れも、味付けも、素材の数もミニマムだった前回の印象から考えると、これは狙って濃くしているのではないかと思う。
現代の料理の大きな流れは、流通技術の発達と健康志向に伴い、減塩へ薄味へと向かった。ここも以前はどちらかというとその流れの上にある味付けだったのが、今回濃くなった理由は、これは想像でしかないが、より現地の(古くからの)習慣や味により近づけているということはないだろうか? 言ってみれば、原点回帰。

もう一つは、混ぜて食べる掛け算の料理が増えて、それがどれも印象深かったこと。
これまでは「メイン素材、付け合わせ(素材1種類)、ソース(ないことも)、終わり!」という単純な組み合わせが印象的だったのが、複数の食材を掛け合わせた効果が出ているものが多かった。

そういう料理を3つ挙げると、
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①前回も出た、地衣類で濾した牛のフォンを注ぐお粥。
牛のフォンは地衣類で濾すことで泥臭さが加わっているのが、お粥に入れた途端、その臭さが消えて味の深みに変わる。地衣類の臭みをうまみに変えているのは、焦がしたコメの香ばしさ。これは前回と変わっていないメニューだ。上に載った野草の強い香りもアクセント。

②鳥レバーのカスタード、グースベリーのピクルス、麦芽化したキャベツ、発酵黒にんにく、ソレルの茎添え
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フランのように柔らかい鳥の白レバーに、極小のグースベリーをさらに縦に4分割したピクルス、甘いキャベツ、うまみの強い乾燥黒にんにく、酸味のあるソレル(日本名「酸い葉」)をトッピングしたものをスプーンで混ぜて頂く。大きさはおちょこ1杯くらいなのに、各パーツが合わさるとすごい力を持っている。

③ルピナスのグラタン
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ルピナスとはマメ科で別名ノボリフジ、店の周囲、道路脇にもたくさん生えているのを見かけた。ルピナスのマメは大豆アレルギーの人のための代用品として、豆腐を作ったりするという。これはまさにその豆腐で、醤油に似た茶色いソースがかかっている。上に載っている花はルピナスの花だろう。日本の茶碗蒸しに似た、ソースと、味のない豆腐と、花の苦みのコントラスト。
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グリルしたキャベツ、魚卵と生クリーム、ケールのオイル
今回最も印象深かったもの。これまでの路線の上にあるミニマリズムを体現した料理。
キャビアに似た塩味の魚卵は添え物で、メインは直火でグリルしたキャベツの方だ。
生クリームはミルクのように薄く、キャベツの焦げた香りとケールの緑臭い香りの相性の良さに、思わず絶句するほどだった。
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マグヌスシェフ曰く、「冬に来るなら1月だね!食材もいいし、オーロラも出るよ」とのことで、次回こそは雪に閉ざされた冬のFavikenに行ってみたいと思う。
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今回初めて見た、闇に沈むFavikenの建物。

肌寒く、お天気にも恵まれなかったが、雨に濡れた美しい苔や、現地特有の背の低い繊細な草花を見ることが出来た。
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今回のアクセスについて
日本からトロンハイムまで、スカイチーム(AFとKLM)で通しで。
成田→パリ→アムステルダム→トロンハイム。成田を朝出ればトロンハイムまでその日のうちに着く。
トロンハイムからはレンタカーで約150km、渋滞も信号もない一本道なので2時間半〜3時間程度。
国道14号線からFavikenに向かう曲がり角の場所を特定するのが難所だったのが、今回は標識が出ていた。
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