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香港の福臨門に行ったというと「九龍? 湾仔?」と必ず聞かれる。

いわく、九龍の方は点心師さんがとても上手だ、湾仔の方は昔からの社交場的な華やかさがあって料理はどれもそつがない、観光客対応が上手なのは…などなど、食べるのが好きな人は、どちらに行くか皆さん一家言あるようだ。

福臨門の歴史関連については、こちらなどをご参考に。(→小倉エージの新・香港的達人)中国・広州市番禺区に生まれた徐福全が石鹸工場で働くために香港へ渡り、後に料理の道を志してひらいた「徐福記」が現在の「福臨門酒家」の前身とのこと。

私はお誘いいただいて行くことの方が多いので、これまでどちらも半々くらい。
今回もお誘いしていただいた方のお伴で。(3月の訪問です)

例によって事前注文していただいていた。
鷄の塩釜焼と、湯(法螺貝と乾燥山芋ともみじ)。
下ごしらえや乾物の戻し時間、あと、コストのかかる料理は事前に作っておけないからというのもあるらしい。
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皮蛋酸薑(ピータンと酢ショウガ)
海蜇
脆皮乳猪伴(豚の皮のロースト)
筍尖鮮蝦餃
カリー蒸士〈魚尤〉(イカって何でこんなにうまいのか)
瑶柱鶏飽仔
叉焼〈火同〉餐飽
薑葢牛柏葉(センマイ蒸し)
上湯鮮竹巻(タケノコ、豚肉などを湯葉で巻き、蒸したもの)
淮杞鳳爪燉螺頭湯(法螺貝と乾燥山芋ともみじの湯)
正宗連雜監〈火同〉鶏(鷄の塩釜焼)
上湯浸菜
蓮子紅豆沙
生磨合桃露
香芒布丁

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鷄の塩釜焼はモツ部分がこれまた紹興酒のアテにぴったり。注文してくれた人の好みがよく反映されてる。笑
鶏の皮パリパリの姿焼はいつでもどんな店でもいただけるメニューだが、こちらは準備に時間がかかるため事前注文らしい。姿焼にある焼いた香ばしさの代わりに、塩釜焼には蒸した柔らかさと燻製香がある。
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あとはサンデーブランチ用で普通は出ないメニューから、豚の皮の丸焼きと、焼いた叉焼パン。
サンデーブランチだけ出す夜メニューの軽い版は、数が出るゆえのサービスかと。
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楽しみにしていた法螺貝の湯。
この湯は老火湯(別名泥スープ)と異なり、上湯ベースでくっきりすっきり、品が良くて華がある。
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だしがらがこちら。
茸と山芋と牛蒡のあいだにふやけたもみじ(鶏の足)が。グロいけど、コラーゲンの塊で鶏の味がしっかり残っているので醤油をたらして少しいただく。

福臨門のメニューは、というかこのような店のメニューは昔からほとんど変わっていない(はやりすたりはあるけれども)ので、古い書籍で料理のおさらいができるのはありがたいところ。小倉エージさん著などのマニアックな古書も、今でも予習用のテキストとして十分に通用する。

そしてこちらのオーダー次第でいろんな引き出しを開けてくれるというか、逆にこちらが開けようとしないと開かないのが香港のレストランの難しいところでもあり、また醍醐味でもある。日本ほど季節がはっきりしていない香港でも、季節ごとに食べるべき料理・食材がちゃんとある。

行く季節によって、そしてメニューを頼んでくださる人によって全く違う食体験になるのも、福臨門の懐の深さゆえかな。

ちなみに日本の店が「家全七福」になった福臨門ですが、その家全七福も大阪店が先月いっぱいで閉店しました。残念。

福臨門魚翅海鮮酒家(Fook Lam Moon)公式サイト
灣仔莊士敦道35-45號利文樓地下3號舖
TEL2866-0663
休業日 旧正月