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室町時代に京都で創業し、以来5世紀にわたり和菓子の「高級ブランド」であり続けた虎屋。
創業当初から宮中の菓子御用をつとめ、明治期には天皇の東京遷都に伴い、東京に店を構えた。中興の祖・黒川円仲(えんちゅう)から数えて、現当主黒川光博氏で17代目となる。
虎屋と同じ時代からの菓子屋といえば、今に続くものは粽で有名な川端道喜くらいだろう。

虎屋には、歴代の菓子の絵図帳や古文書、古器物が伝承され、これらを整理・保存する機関として虎屋文庫が設置されている。そこで毎年1~2回行われていた羊羹や和菓子の歴史や文化をひもとく特別展、今回の「虎屋文庫のお菓子な展示77」は、赤坂の虎屋文庫の入る本社建物が立て替えになるのに伴い、これまでの展示会を振り返る集大成だ。
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展示はパンフレット「虎屋文庫資料展のあゆみ」にもある、歴代の資料展を紹介したパネルがぐるりと会場を囲んでいて、実際に木型や古文書、関連の和菓子の実物が並べられている。その題名をたどるだけでも、和菓子が、歴史や文学や年中行事と深く結びついてここまで来たことがわかる。

「和菓子を作る 職人の世界」、「お米の七変化」、「源氏物語と和菓子」、「年中行事と和菓子」、「歌舞伎菓子尽くし」などなど…

和菓子はもちろん食べるものなので、食べておいしいものであることが第一。でも和菓子は見た目の美しさなど、味以外の要素も大きい。食べるときにそれらとの結びつきを感じることで、私たちは、和菓子にただの甘いものではない豊かさを感じているのだろう。
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「和菓子を作る 職人の世界」展(2011)
工場の全面協力があって実現した展示です。職人の「言葉」を少しでも伝えたく、無理をいってトークイベントも開催。新作和菓子コンテストには巨大富士山も登場しました!(資料展冊子より)

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「子どもとお菓子」展(2009)
江戸時代、駄菓子も売ったという番小屋の再現に力が入りました。新型インフルエンザ騒ぎで、あわや展示中止?!というひとコマも。

キャプションは当時の失敗談を載せるなど、ざっくばらんな構成。
「室町時代」を「宝町時代」と誤植していたこともあったらしい。

これらの冊子は残部があるらしく、「受付にお申し出頂ければ差し上げます」という掲示が出ていた。
どれも虎屋でなければ作れない貴重な資料で、これを無料で配布するところに、虎屋の矜持が見える。

虎屋の菓子の展示は原則として現物を出すのだという。毎日取り替え、おいしそうに見えるように霧吹きをかけたり、照りを出す蜜を塗ったりしているのだそうだ。

余談だが、京都に和菓子の店が多く出来た理由は、都であることや茶道に用いられたことももちろんあるが、地の利も大きかったらしい。
例えば小豆なら丹波、寒天は亀岡など、近くで比較的良い材料に恵まれたことが、菓子作りには必要だった。

砂糖は室町時代にはほとんどなく、当時の甘みはあまづら(甘葛。ツタの一種を煮汁)や蜂蜜などでつけていたという。江戸期に長崎・出島から砂糖がもたらされ、そこから九州へまず広がっていった。

私の地元の佐賀には、名産品として小城羊羹がある。これも、江戸時代から砂糖が手に入りやすかったことと、武士が維新で廃業して代わりに菓子作りを始めたこと等が理由にあるらしい。
当時は流通の発達した今と異なり、地の利が名産を作る大きな要素を占めていた。
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「虎屋文庫のお菓子な展示77」は、東京・赤坂の虎屋文庫で6/16(火)まで。
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